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輝けるヒット曲の数々!青春歌謡の黄金時代を聴く


玉置宏

◆◆歌謡界を華やかに彩った60年代のスターたち

 ラッシュの様相を呈しはじめた週刊誌の記事が、別世界の人、憧れの人ととらえられてきた芸能人を、そのプライバシーを含めて、世間一般の人々と変りない存在とし、逆にマスメディアをフルに利用してスターをつくる時代になったのが1960年代である。
写真  吉田正学校から、橋幸夫、吉永小百合、和田弘とマヒナスターズ、三田明、久保浩らがスターダムにのしあがった。テレビ・バラエティ「夢で逢いましょう」などでカバーポップスを中心に唄っていた田辺清雄まで吉田学校入りして、青春歌謡黄金時代に彩りを添えた。
 一方ではロカビリ出身歌手まで歌謡曲のヒットをとばし、松島アキラ、平野こうじ、佐川ミツオといったアイドル性を持った人々ももてはやされた。歌そのものも勿論だが、歌手自身に備わるキャラクター、即ち恰好良いとか甘いとか評価される部分を、より強くアッピールしたのである。股旅ものでデビューした橋幸夫までもが、アイドル性を強調すべく、一連のリズム歌謡を手掛けて日本レコード大賞企画賞を受賞、大成功をおさめた。この時期にライブステージでリズム歌謡を唄うときのバックバンドとして結成されたのが“チコとピーグルス”である。 やがて60年代後半に入ると歌謡界は多様化する。アングラからフォークソングが頭をもたげ、GSがブームを巻き起こしたところで橋幸夫は次の作戦に出た。吉田学校の後輩三田明も順調に青春スターの道を歩んでいる。
 そこで橋幸夫は、デビュー以降、作詞佐伯孝夫・作曲吉田正で通してきた路線を、他の作家による“大人のラブソング”で勝負することに変更する。1966年の作詞宮川哲夫・作曲利根一郎の「雨の中の二人」が第一作で、同年このコンビによる「霧氷」で「いつでも夢を」に次いで再度の日本レコード大賞まで手中にしてしまう。
 若者の爆発的な支持を得たGSブームも、アイドル・ボーカリストのソロ転向が相次ぎ、意外なほど短命に終り、フォークもメッセージソングからラブソング中心の“ニューミュージック”に移行して、和製ポップス時代といわれる70年代にバトンタッチされてゆく。マス媒体をフルに利用することでスターをつくり出した60年代から、マス媒体にとって利用価値が無くなると一夜にして過去の存在にされてしまう70年代になる。歌手の短命化とアイドル化に象徴されるこの時期に頭角を現したのが「また逢う日まで」の作詞家・阿久悠である。70年代以降の歌謡界をリードした阿久慾も、今は遠い人である。(敬称略)


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玉置宏(たまおきひろし)
司会者、横浜にぎわい座館長。1934年、神奈川県生まれ。明治大学卒業。「一週間のご無沙汰でした」という名ぜりふで一躍人気司会者になる。「昭和歌謡大全集」などテレビ・ラジオで活躍、現在は「ラジオ名人寄席」に出演。著書に『昔の話でございます』など。

商品番号078198
価 格¥2,415(税込)
タイトルときめきの'60年代青春歌謡物語
曲 目美しい十代/みんな名もなく貧しいけれど/明日は咲こう花咲こう/湖愁

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情報更新:2007/11/03

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