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万物の共生と呼応
「ガイア」が奏でる壮大なシンフォニー

佐治 晴夫

私たちは、例外なく、星のこども

写真カバー  一枚の紙は何からできているのでしょうか。その原料はパルプ、樹木です。樹木を育てるのは水、その水は雨がもたらし、雨は雲から、雲を造るのは太陽のエネルギーです。つまり、一枚の紙は、宇宙の中の森羅万象が係わって存在しているということです。私たち生命体も同様です。生命を構成するすべての元素は、星が光り輝くプロセスで合成されますが、星が超新星爆発という形で終焉を迎えた時、宇宙空間にばらまかれた星のかけらから、太陽ができ、地球が生まれ、そして私たちが誕生しました。私たちは、例外なく、星のこどもであり、星の終焉が人の誕生を約束していたということですね。

日に見えず、耳に聞こえないコミュニケーションを基に

 さて、このCDに収録されている講演は、映画『地球交響曲』シリーズの製作、監督に携わった龍村仁氏が、その一連の作品に寄せる想いを、「すべてのものは、根源において同一であり、たがいに係わり合いながら存在し、脈々と持続する壮大な宇宙絵巻の“ひとこま”である」という視座から熱く語ったものです。いいかえれば、この映画は、地球自体もふくめて、そこで生起しているすべてのものごとは、自分以外の他とたがいに補完し合いながら、あたかもひとつの生命体、つまり、「ガイア」として存在しているということを、美しい映像で表現した作品群です。
 実は、この考え方は、純粋に科学的な方法論によって展開されるものですが、龍村民はそこに、映画監督がもつ特有な感性を散りばめて、人と自然との呼応を詩情豊かに描いています。そこで根幹をなすものは、人と自然物との間に介在する共感や共時性といったような、目には見えない、そして耳には聞こえないコミュニケーションの存在です。このCDの中で語られる龍村民の世界観を支えているのは、まさにその点です。しかも、映画の映像からだけではわからない製作秘話が豊富に語られているのもこのCDの特徴です。
 実は、筆者も、かつて、龍村氏の連続作品として放映されていた「いのちの響」に出演したことがありました。その中で、「私たちの肺は空気中の酸素を体内に、体内から排出する二酸化炭素を空気中に送り出す交換器だが、呼吸で排出する二酸化炭素を酸素に換えるのが、樹木なのだから、樹木は、私たちの体の外にあるもうひとつの肺だといってもよい。となると、木を切ることは、体の外にあるもうひとつの自分の肺を切ることだ」と話した記憶があります。このCDの終盤のまとめとして、この発想を引用していただいたことは、私にとっても、望外の幸せです。


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佐治晴夫(さじはるお)
1935年、東京生まれ。東京大学物性研究所、玉川大学教授などを経て、現在、鈴鹿短期大学学長。“無”からの宇宙創生の理論で知られる。『夢みる科学』『宇宙の不思議』『わかることはかわること』など著書多数。

商品番号074 700
価 格¥2,100(税込)
タイトル『地球交響曲』─生命の星“ガイア”からのメッセージ
講 師龍村 仁

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情報更新:2007/10/31

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