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イギリス紀行

川村正春


二〇〇五年六月末に英国を旅行した。それまで何処にエジンバラや湖水地方があるかも知らない英国。しかし、六、七月の英国は、街や自然が本当に美しいと聞いて、衝動的に出かける事を決めた。それが出発の二週間前。今年で切れてしまうマイルがあり、妻には最初で最後のビジネスクラスを予約。それからが大変。赤坂の英国観光局に行って情報を仕入れ、図書館で本を読みあさり・・。名所は全部回るのは当然として、折角行くのだから、その他の興味深い場所も是非とも行きたい。だからレンタカーで回ることにする。宿から車まで、直接英国にインターネットで予約を入れる。慌しい準備を終わらせ、何とか予定通り英国に降り立つことが出来た。名所は、ガイドブックに委ねるとして、ここでは、あまり日本では馴染みのない場所を紹介したい。 
 

ブリテン島南西部コンウォール半島のプリマス
 

『ブリテン島南西部コンウォール半島のプリマス』
一六二〇年、メイフラワー号はここから出港した。迫害された清教徒達は新大陸へ希望と共に渡った。そして、その植民地をニュー・プリマスと名づけた。船の着岸したアメリカの港も現在、プリマスという名前で呼ばれている。もう一つ、一六一三年、まだ鎖国になる前の江戸時代に日本に初めてイギリス船が来て通商条約を結んだ。この船もここ、プリマスから出港した。以上、歴史が大嫌いだった私も、そこまで知るとプリマスを見たくなるのである。教育とは、いかに興味を持たせるかという見本のようなものだ。ホー公園からの果てしない大西洋と先人達を想い、はるか水平線のかなたを見つめながら、四〇〇年前の歴史に胸を熱くする。歴史の教師を見るのもいやだった歴史嫌いの私が。
 

スランゴレンのポントキシフティ水道橋

 

『Llangollen Pontcysyllte Aqueduct(スランゴレンのポントキシフティ水道橋)』
ウェールズ語の発音は難しい。英国には運河が至る所にあり、ナローボートで旅をすることができる。この橋は、そんな旅を可能にする運河であり、その脇の狭い遊歩道が他へと続く。そこを歩いてみた。なんと三六mの高さがあり下を見ると足が震える程。この遊歩道のすれ違いは、お互いの表情を和らげる。こんな触れ合いも旅を楽しくする。この場所はスペルをたよりにYahoo UKの地図検索によって、見つける事ができた。このサイトのズーム機能はすごい。ヨーロッパ全体から住所のポイントまで快適にズームアップする。
 

ハードノット・パス

 

『Hardknot Passハードノット・パス』
湖水地方の西のはずれにある峠。英国で最も急勾配の道。ほとんど真上に向く感じの坂道が何箇所もある。とても雄大な自然も見所だ。対向車のドライバーもニコニコしている。
頂上の爽やかな風に吹かれて、なんと一人の女性が刺繍をしている。本当に一人きり。この国は、一人で何かを楽しむ人がなんと多いことか。サイクリング、ウォーキング等、みんな自由なのだ。正にこれが英国人気質。
 

ダンカンズビー・ヘッド

 

『ダンカンズビー・ヘッド』
ロンドンを出発して、西回りでとうとうブリテン島の北端まで来た。すさまじい風景。寒風。超強風。スコットランド地方の厳しさを感じる。じっと辛抱して生活するスコットランド人を想像する。イングランドとの長い戦争もあった。この風景は、そんな悲惨さも訴えかけて来る。近くにいた家族の父親にシャッターを押してもらった。といっても、まわりにはこの一家しかいなかったけれど。こういう厳しい環境の中では、お互いに、すぐに声を掛け合う。だから仲良くなるのも早い。

 

白亜の断崖
 

『セブン・シスターズ(白亜の断崖)』
ブリテン島を一周して、最後に南端部まで来た。海からそびえる白い断崖。この自然の造形は見る人を圧倒させる。昔はこの石をチョークとして使っていた。恐竜の骨が、この白亜層から出たことから、恐竜時代を白亜期と呼んでいる。花が満開の帰り道で、初老の男性とすれ違った。お互いに笑顔で挨拶。彼は言った。「お元気ですか」とても気持ちの良い日だったので「幸せな気分です」と答えた。彼は続けて「今、数ヶ月前に亡くした妻との思い出の地を歩んでいる。旅をしながら、こうして、彼女と話をしていると、彼女はいつも私のそばにいる。この澄み切った青空の下で彼女を思い、共に歩むことは、どんなに幸せなことか。あなた達も、幸せで良かった。良い旅を続けて下さい。」と。心地よい日差しの下で、美しく幸せな天国の光が、私達のまわりを包んでいるようなシーンだった。英国人は気難しくて愛想がなく、質問しても無視されて、旅が台無しになったと言う旅行者もいる。今回、私達には全くそのような事がなかった。挨拶すれば、とびっきりの笑顔で返してくれる。何を質問しても、とても親切に教えてくれる。大事なのは、こちらも日本ではしたことがない位の笑顔を最初にする事だ。人は笑顔なら、豊かな気持ちと平和な空間が、そこに存在する。英国を旅して、そんな人の美しさを改めて感じた。何も知らなかった英国。でも今は、ちょっと英国通か。


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作者川村 正春
55歳。昨年、早期退職をしました。今は、好きな旅をしながら、人生を見つめなおしているところです。 HPはこちら

 

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情報更新:2006/02/26
 

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